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『100分 de 萩尾望都』 感想 「トーマの心臓」

「トーマの心臓」 

「トーマの心臓」は私が初めて漫画は凄い!漫画は素晴らしい!と思った漫画です。
リアル連載で読んでいたわけでは無いので、読んだ時は単行本化された3冊を一気に読みました。

まだ子供だと初めから最後までまとめて一気に結末まで読まないと感動できなかったかもしれない。
連載で読んでいたら意味がわからなかったかもしれないと思う。

 

当時の子供だと漫画連載で読まされてもどうしてこうなるか解らなかったのかも?
「誰誰君が好きキャハ」みたいな少女漫画の中で「トーマの心臓」があるのだもの異質だよ。
そりゃあ、恋愛ラブ恋愛漫画好きな少女達に「トーマの心臓」をすぐ解れと言われても難しいと思う。
今の子にだって連載で読ませても大多数の子供が同じだと思う。


中学時代に新撰組が好きという友達に、新撰組が好きならこの感動が解ってくれるかな?と
「トーマの心臓」全巻を貸して
「この漫画凄く良いから読んでみて~」と読んでみてもらったことがある。
「読んだよ」と言ってきた友達に「どうだった?」と感想を聞いたのだが、

てっきり同じ新撰組が好きな者同士で解ってもらえると思っていたら、
なんとなく周囲をみて、こそこそとして、ちょっと悪いことのような小さい声になって

「ホモ漫画だよね」と言ったので、

「え!!違うよ!(ホモと言われればそうかもしれんが)」「がぁーーん」古いか(笑)

と期待はずれの感想に、えらくがっかりしたのを思い出します。

「いや、読むのはそこじゃないってぇ、もっと違う感動があるじゃないか!」とね。

私だって中学生の時代に「トーマの心臓」で何でこんなに感動するのか、
涙が出てしまうほどの感動なのかを言葉に出来なかったし、
大人になった今でも感動する心を言葉に表すとか文章にすることは、容易では無いです。

感動する!涙する!って言葉じゃないんだよね。
なぜだか理由はわからないんだ。分析じゃないんだ。
でも、子供でもこれはイイ、凄くいい物語だってことは心が感じられたんだ。

 

多くの少女で漫画を読んでる人は「トーマの心臓」=ホモ漫画でしょ。としか感じでもらえないのかな・・・
とがっかりした思いがある。
でも、たぶん、「なかよし」のような少女漫画雑誌とかラブラブ少女漫画を読んでいる多くの少女達には
「トーマの心臓」は、まさしく異質なものであってこういう感想だったんだろうね。。

今の時代だって、大人になって読んでわかる漫画が「トーマの心臓」だものなあ。

 


「ユリスモールへこれが僕の愛 これが僕の心臓の音 君にはわかっているはず」

「僕の翼、君にあげる」

 

ユリスモールは、トーマの天使の翼を受け取ってもう一度神様に許されようとする。

エーリクも翼をあげると言ってくれる。
ユリスモール(ユーリ)、君は、本当はずっとずっと誰からも愛されていたんだよ。。

 

ユーリのように自己を見つめ直す時にもう一度神様と対峙しようとするのは、
日本人の寺に行ったり、神様にお参りしたり、クリスマスありだったりの、
私のように宗教どうでもいいみたいなアバウトな人には新鮮だったし、
宗教が崇高なようなものに感じた。


悪に魅了されるユーリ=神を裏切った自分、
自分で自分を許していくというのは、
実は特別、キリスト教と言うことで無くてもいいのかもしれない。

神という何かの存在で目に見えない何か天上のものであればいいのかもしれない。。
いや、天上のものでなくてもいいのかもしれない。

トーマは、愛にあふれていたけど、その愛をどうユーリにわかってもらえるか解らなかった。
解らなかったから悩んでた、
自己犠牲だけでユーリの罪の代わりに自分の心臓を悪にささげて罪に落ちた。
僕の翼をユーリにあげた。ユーリに自分の翼を受け取ってもらいたかったんだ。

翼をあげることでユーリに愛を証明して見せたけど、
でも、トーマは、自殺したことで永遠にユリスモールを手に入れたんだよね。
ある意味で、トーマはユーリの神になったと言えるように思う。

自分の命を犠牲にしても、救いたかった愛、
自分の命を犠牲にしても、自分につなぎとめたい愛

いやあ、これをギムナジウムの14歳ができるのか。。うーーん、大人すぎる。

 

生きている良い子のトーマでは、ユーリの心を変えることができなかったのに、
自由に好き勝手なわがまま気ままなエーリクは、ユーリの気持ちを変える事が出来た。
その違いはなんだったんだろうか・・・・とも思う。

誰かが、誰かを好き、じゃあ、好きではない人と思うその違いは何だろう?

外見が違うから?でも、エーリクとトーマは同じ顔だというのに…。
ほんのちょっとの違い、それって何だろうねえ。。わからない、好きという心は不思議だね。

 

ユーリも自分で自分を許すというよりも自分を愛してくれていた人がいた、
人から愛される自分がいるんだということを解った時に、
トーマの愛もエーリクの愛も、ただ愛されるだけでいいんだってわかったのだろうから。

 

ユーリが愛を閉ざして何も見ていなかっただけで、
回りは愛に満ちていたことに気がついたとき
愛ある世界でもう一度、神とやり直そうと思ってくれた。

 

ママを無くしたエーリック、オスカーはパパを無くして本当のパパのことを心に秘めている。
ユーリはとてもいい子、いい子にならなければいけない子として生きてるけど、
家族の中では金髪じゃない容姿や父親のことから疎外されてる。

エーリックもユーリもオスカーも

幸せという画一的な家族からはちょっとずつ遠いところにいるけど、
ちょっとずつ自分から歩み寄って幸せになろうとしてる。

 

最後は、ユーリが汽車に乗っての神学校への新しい旅立ちで終わっていく物語だけど、
もう、そこは絶望じゃない、希望がある世界へいくのだと、
ユーリに幸せがあるように・・と祈ってしまうのです。

 


『100分 de 萩尾望都』 母親との葛藤 「漫画 やめなさい」
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『100分 de 萩尾望都』 NHK Eテレ 感想1
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