九龍ジェネリックロマンス 作者眉月じゅん 3巻あらすじ・感想・ネタバレあり2
■第3巻のSFチェック部分。
耳にピアスをしている鯨井令子先輩
鯨井(B)32歳と後輩の工藤30歳の時のエピソート。
大工仕事をした後に具合が悪くなった工藤 発(くどう はじめ)を
鯨井令子(くじらい れいこ)の家が近くだからと部屋で休ませることになった。
部屋は8号室。
工藤:「鯨井先輩は、台所で歯を磨いてんのか。案外、粗忽者だな…歯ブラシは1つだけ。」
鯨井:「冷蔵庫にお水入っているから飲んでもいいわよ。」
と言われて冷蔵庫を見るとコップに入ったお水があった。
工藤はペットボトルがあるのだろうと思っていた。
鯨井「ただの水道水だけど一晩おいてカルキの匂いを抜いてあるからキンキンに冷えてるでしょ。」
「最近、はまっているのよ。」
室内は、テレビに化粧品棚、花瓶には花、花は白いカラー。
工藤:「ぬいぐるみとかねーんだな…。」
工藤は九龍にきて約一週間。
初めて経験することや初めて見る情景になぜか懐かしさを感じる感覚。
ちょこちょこ体験しています。
工藤:「懐かしいっていったい何なんですかね。
鯨井さんは前に恋と同じって言ってましたけど、」
洗濯を取り込んでる鯨井令子(B)が答える
「私が思うに懐かしいは「この胸に閉じ込めたい」ってことなんじゃないかしら。」
「だから恋と同じなの。」
今の鯨井(A現在)は、工藤に貰った金魚に話しかける。
「この花瓶じゃせまいよね。」
休日出勤で工藤と鯨井(A現在)は、
壊れたポットの買いだし中、お店で金魚鉢をみつけて購入することにした。
工藤が鯨井(A現在)の部屋まで運んでくれることになった。
あいかわらず、台所には歯ブラシが1つ。鯨井先輩の時と同じ。
冷蔵庫をあけてみるが、水はなかった。
部屋の中は以前見た配置とほとんど同じ、変わってたのは
部屋にはジェネリックテラぬいぐるみを置いている。
「久しぶりだなあ。」とつぶやく工藤 傍らには鯨井先輩の黒い影。
思い出すのは、鯨井先輩の事。。
工藤:「部屋ってのは住んでる人の色に染まるもんだから。」
工藤が帰った後に鯨井(A現在)は、独り言を言う。
また、来てくださいね。「私の部屋」に
金魚の名前はサクセス。
水槽を運んでもらったお礼に工藤の机にひまわりの花を置いた。
小黒(しゃおへい)が引っ越ししたいとやってきた。
洋服が多くて手狭になったから引っ越ししたい。
小黒(しゃおへい)は
「九龍から出たくないよ、あの時だってそう思ってた。」という。
鯨井(A現在)「あの時って?」
聞いても小黒(しゃおへい)はそんなこと言ったか?
ととぼけているのか本当に覚えているのか、解らない対応をする。
▲▲小黒(しゃおへい)もクローンなのか?全部がクローンなのか?
解ったのは、小黒(しゃおへい)も
「あの時、九龍から出て言った時」があるということだ。
楊明(ようめい)と夕食を食べる鯨井(A現在)
おいしそうな、ピータンを食べてる。
▲▲ピータンが上に切った生姜つけて描かれているの美味しそう(笑
こういう切った生姜を上に乗せるのはホテルとかの高級店か
日本の中華料理屋風だと思う。
街にある庶民のお店は、ほぼやらないなあ。タレみたいなのはかけるけど。
楊明(ようめい)に最近、どうなのよ、工藤とは?と聞かれて
部屋に入れたと答える鯨井(A現在)
楊明(ようめい)「工藤さんが部屋に入るのきっと初めてじゃないよね。何か感じた? 」
鯨井「私は特に何も感じなかったよ・・」
鯨井(A現在)が花言葉を知らずに会社の机に置いた向日葵(ひまわり)
花言葉は「あなただけをみつめてる」だった。
工藤も花言葉を知っているのか?知らないのか?
机の上のひまわりに「そんなにじっとみるんじゃねえよ」とつぶやいている。
ジェネテラちゃんのお面バージョンを被っている変な男が
工藤がよく行くおじいさん達のマージャン場にやってきた。
工藤が紹介した部屋に行けば何か解るだろうと喫茶店の男タオ・グエンを探しても
道は立ち入り禁止が多くてタオ・グエンの部屋にたどり着けない。
ジェネテラちゃんのお面バージョンを被った仮面男が
鯨井(A現在)の前に現れて手品をして去って行った。
喫茶店「金魚茶館」にもやってきたお面男は、
後任の喫茶店員に前任のタオ・グエンという男を知っているか?
と写真を見せて聞くが、彼は、まだ「金魚茶館」で働き始めて二週間。
彼も2週間前にやめた前任者タオ・グエンのことは知らない。。
工藤は、タオ・グエンの消息を聞いて回っていたが、
喫茶店の取引先の人からは、
「九龍はワケありの人間だらけなんだから、
急に姿消したってなんも不思議じゃねーよ。
「グエンは器用な奴だからどっかでちゃんと生きてるだろ。
あんまり心配すんなって!」
と言われてしまう。
▲▲器用な奴ってことで手品をしてる仮面の男はタオ・グエンでよいようだ。
工藤は、なぜか、通れない道があったりして、
以前のタオ・グエンの部屋まではたどりつけないままだ。
工藤は、「何かが起きてる。このクーロンで。」と思っている。
先ほどの仮面の男が蛇沼みゆきに会いに来ていた。
蛇沼みゆきが鯨井(A現在)に会ったタオ・グエンに質問する
「それで、君の見解は?」
「前回はほんの「さわり」だけだったでしょう。」
▲▲前回ってどこの部分にあったことなのだろうか?どこが前回になるの??
▲▲鯨井(A現在)と喫茶店で会ったタオ・グエンは違う人だから??
鯨井(A現在)のクローン制作途中で会ったとかなのか?
仮面の男グエンは、鯨井(A現在)は「確かに彼女だった。」
「少し違和感はあるけど、ほぼ同じ」だという
喫茶店のほうは、
グエン「2週間前まで働いていたらしい。今は行方は不明。」
「これをどう考えるか…。」
▲▲喫茶店のタオ・グエンのことだろうから蛇沼みゆきといるタオ・グエンは別人。
お面を付けているのは、
「もし、はち合わせたらどうなるかわかりませんから。」
「迷信でしょう、ドッペルゲンガーに会うと命を落とすって。グエン」
蛇沼みゆきといるタオ・グエンはオリジナルのようだ。
▲▲グエンは九龍では、食べたり飲んだりを禁止されている。それはなぜ?
お面男グエンのスマホにある「ハニーちゃん」から電話がかかってきた。
蛇沼からの電話だった。
勝手に出歩くなと言われている。のにお面男グエンは出歩いている。
飲み食いは禁止。慎重に行動すること。と注意されている。
仮面男が鯨井(A現在)の前にあらわれた。
小黒の部屋の屋上からひまわりを見ていた鯨井(A現在)が
「金魚茶館」のグエンだと思って2回会ったことがあると話すと、
「ああ、オレのこと知ってるのか。」と仮面男のグエンは思う。
▲「金魚茶館」にいたグエンと仮面男のグエンは別な人で良いようです。
鯨井(A現在)は「金魚茶館」にいたタオ・グエンに聞きたいことがあるという。
「あなたは、以前から私のことを知っているんですよね?私と工藤さんの関係も」
仮面の男タオ・グエンが言ったのは、
「鯨井令子さんのことは以前からよく知っています。
もちろん、工藤さんとのご関係も。でも、アンタのことは知らない。」
「オレの知っている鯨井令子は、もうこの世には存ない。」
▲仮面の男グエンは、鯨井令子(B)を知っているけど、「金魚茶館」にいたグエンではない。
鯨井令子は、この世にはいないことがわかった。
仮面の男グエン「ご丁寧にホクロの位置まで同じなんだ。」
「気に入らないなぁ…」
「まるで仲間との大切な思い出を何処の誰ともわからない部外者に土足で踏み荒らされてる気分だ。」
「まあ、あんたも自分の人生と思いきや他人の人生を歩んでるんだから、
気の毒だとは思うけどね…。」
「この九龍の工藤さんもオレの知ってる工藤さんなのか、わからないけど」
「なんせオレも居たらしいしな…」
▲もう一つの世界でグエンと工藤さんと鯨井令子の世界があるような気がする?
▲工藤もクローンなのかもしれない?
事務所に帰って生きた鯨井令子(A現在)は、
工藤にまで「俺はお前が嫌いだ。」と言われてしまう。
鯨井令子(A現在)は、「知ってます」と言って、萎れたひまわりの花を片付けた。
鯨井(A現在)は、この人生は私のもの?
「私が工藤さんに愛されていたという過去も私のものではないんだ。」
目薬をさすようになった鯨井(A現在)は再び眼が悪くなってきたのかも?
でも、鯨井(B)と違うことを見せたくてメガネは絶対かけたくない。
▲クローンも時間が立つと眼が悪くなったりするのだろうか?
▲それとも、不良品?薬がきれる?ある期間だけのクローンとか?
とうとう、鯨井(A現在)が屋上で工藤に聞いた。
「私は、工藤さんが知ってる鯨井令子ではないんでしょう?」
工藤の返事は、「知らないのは、お前の方だろ。」
「この生活を自分のものだと思い込んでいるように、
オレへの感情もそう錯覚しているだけだよ。」
鯨井(A現在)が倒れてしまう。
刺青を男に見せている若い時の蛇沼みゆき。相手は父親のようだ。
「もっと蛇沼家(あなた)にこの身を捧げますよ。」
そのためにナイフで舌を二つに割ったようだ。
若社長の蛇沼みゆきは、愛人との子供で養子だった。
男の子は、奥様と共に事故死した。
蛇沼の家には、当時の男の子と奥様の絵がかざってある。
タオ・グエンは、蛇沼みゆきの家で寝泊まりしている。
グエンと蛇沼は、怪しい関係のようだ。
蛇沼みゆきの背中一面には蛇が巻きついている刺青模様が入っている。
蛇沼みゆきは、グエンを誘って街歩きに行く
育ちが悪いのでジャンクフードが好きだと言う。
グエン:「思いだすなー。みゆきちゃんと初めて会った日。」
「小汚い安酒しか出さないバーでやたら仕立ての良いシャツを着た美人を見てまず1ビックリ」
「キスしたら舌が割れてて2ビックリ」
「脱がせりゃ刺青で3ビックリ」
「正体知ってさらに4ビックリ」
蛇沼みゆきが言うには、「びっくりしたことは他にもあったでしょう。」
グエン:「そりゃあね。」「このことはオヤジさんは知らないんだろ?」
蛇沼:「ええ。知られたら何をされるか…」
グエン:「心配だな。」
蛇沼:「九龍と香港では、立場が逆転ですね。」
▲工藤が2巻で言っていた、「日本支店より九龍(クーロン)支店へ異動してきました」
という言い方と同じような言い方を蛇沼みゆきもしている。
▲「九龍と香港」というように、国と同列に九龍を出すんだよなあ?
普通なら、
「香港の九龍では、立場が逆転ですね。」と言うほうがすっきりすると思うのですが?
グエン:「もう十分なんじゃないの?」
蛇沼:「冗談。全てはこれからですよ。」
グエン:「みゆきちゃんは、何を目指しているの?」
蛇沼:「絶対であること。」
グエン:「完全じゃなくて?」
蛇沼みゆき「完全なんてこの世にないから、絶対なんですよ」
どうしてこんなに文明が進化しても
こういう一角ってなくならないんだろうね。
それは、消したくても消せないんでしょう。
多くの人が捨てられず、持て余してる。
「なつかしい」という感情。
非常にやっかりで忌忌しい(ゆゆしい)感情です。
工藤の部屋で眼が覚めた鯨井令子(A現在)。屋上で倒れてからずっと寝ていた。
工藤が「話すか?俺の知ってる鯨井令子のこと。」と切り出した。
鯨井(A現在)は、知ったらだめ、と、聞くことを拒否する。
これから出社する工藤は、鯨井(A現在)は、家に帰って休めという。
家の鍵がないという鯨井(A現在)に
「もう一度きくが、何でおれがお前んちの合鍵を持ってるとか、」
「本当に聞かなくていいんだな。」
鯨井(A現在)は、話を聞くことを拒否する。
鯨井(A現在)が願う事。
「工藤さんの恋人になりたい。彼女鯨井(B)のように。」
工藤さんから鯨井(B)の話を聞かなかったのだって、
聞いてしまったら、本当に私という存在がなくなってしまいそうだったから。
怖くて聞けなかった。
鯨井(A現在)の願いは、
「他のだれでもない、ましてや誰かの中の誰かでもない。」
「私は、絶対の私になりたい。」
3巻終わり
▲いや、そこは、さっさと「工藤の知ってる鯨井令子のこと。」を聞いてくれよ。
だが、聞いたら漫画が終わってくるから、なぞ解きは先延ばしなのだろう。(苦笑
漫画で説明されてないけどクローンは普通になっている社会なのかもしれないが・・。
鯨井(A現在)クローンが普通に会社にいて働いているし、
周囲は、当然、クローンだということを解っていて、
そのまま受け入れているのもそのことがもうおかしいよね?(苦笑
なのに、クローンだという説明は本人にはしないままで、そこはあくまでもナチュラル志向
本人は自然と出てくる記憶や行動だけを頼りに日常を送って行く。
周囲もクローンとしての全部を受け入れるわけでもなくて良いらしい。
工藤と鯨井(A現在)が恋愛中にならなくてよくて、
以前にあった事実の工藤と鯨井の恋愛関係は受け入れないようになっている。
2巻にあった、鯨井(A現在)が鯨井(B)写真と同じようなピアスをしてきて
イヤリングですと言うと工藤が怒るシーンも、
大前提が鯨井(B)がピアスということと恋愛中がないと、成り立たない。
無関係の事務所のお姉ちゃんがイヤリングしてこようが、同じ形だろうが、
そんなことに赤の他人が口出しする権利がないんだよね。
しかも、「くだらねーことしてんなよ。」と言うのは、
鯨井(A現在)が、鯨井(B)と同一化しようとしてるようで
わざとやっていることとして怒っているわけで、
その先には「工藤が好きだという気持ちを持つ鯨井(A現在)」がいるからなのに、
そこは、工藤は恋愛することは拒否している。
彼氏でもない工藤がイヤリングに文句を言うことなんて、
同じようなイヤリングしてるだけでイチャモンつけるのは、ちょっといいがかりだよなあ。
『九龍ジェネリックロマンス』(クーロンジェネリックロマンス)第3巻
(英文表記: KOWLOON GENERIC ROMANCE、中文表記: 九龍泛型浪漫)
第4巻に続く